5分で解るアメリカ(米国)事業進出の基本

5分で解るアメリカ(米国)事業進出の基本

「事業進出って、何から始めたらいいんだろう?」 「準備にはどのくらいの時間がかかるの?」

初めてアメリカで事業を展開しようとする場合、様々な疑問が浮かぶかもしれません。今回は、アメリカ事業進出における基本的な手順についてわかりやすくご説明いたします。

事前調査と進出形態の選定

アメリカへ進出する際には、まず進出形態を検討することが重要です。主に「駐在員事務所」「米国支店」「現地法人」という3つの選択肢があり、それぞれにメリットとリスクがあります。

1. 駐在員事務所

駐在員事務所は、州政府や税務当局への届け出を行わず、市場調査を行うための一般的な方法です。しかし、事業活動と市場調査の線引きは曖昧であり、万が一事業活動と見なされれば罰則が科せられる可能性もあるため注意が必要です。短期間の市場調査を行う場合には問題ありませんが、オフィスの賃貸や長期的な活動を行う場合は、次に紹介する支店や現地法人の設立を検討すべきです。

2. 日本企業の米国支店

米国支店として法人登録を行うことで、支店の損失を日本本社と相殺できるほか、新たに役員を任命する必要がないなどのメリットがあります。しかし、アメリカは訴訟が多発する国でもあり、社員による訴訟や第三者からの法的トラブルに対処しなければならない場合があります。さらに、日本本社がアメリカの税務当局への対応を求められることも、負担となる場合があります。

3. 現地法人

現地法人を設立すれば、アメリカでの税務問題や訴訟リスクを日本本社から切り離すことができ、リスク管理の面では最も推奨される進出形態です。日本本社との損失相殺はできませんが、法的・税務的な分離が重要な場合、最も適した選択となるでしょう。

法人設立の手順

事前調査が完了したら、支店または現地法人を設立する手続きに進みます。この際、法人設立代行業者やコンサルティング会社を利用すれば、現地に出向くことなく設立手続きを進めることができます。

1. 雇用主識別番号(EIN)の取得

法人設立後、内国歳入庁(IRS)に雇用主識別番号(EIN)を申請し、取得する必要があります。この番号は、税務申告や従業員雇用の際に必要となります。

2. ビジネスライセンスと許認可の取得

ビジネスライセンスは、事業を開始するための許可であり、州や地方自治体ごとに異なる規定が存在します。また、事業内容に応じて追加のライセンスや許認可が必要となる場合もあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

3. セラーズ・パーミットの取得

商品やサービスを販売する際には、州税務局から「セラーズ・パーミット」を取得する必要があります。このパーミットにより、売上税や消費税を徴収することができます。

4. 銀行口座の開設

法人設立と必要な許認可の取得が完了したら、アメリカ現地で銀行口座を開設します。この際、会社設立書類や雇用主識別番号の通知書などが必要となります。

雇用手続き

アメリカで従業員を雇用する場合、給与税や社会保障の手続きを行う必要があります。これらの手続きは、通常、現地の会計事務所に依頼するのが一般的です。

まとめ

アメリカは、州や地方自治体ごとに法律や規制が異なるため、事前に十分な調査を行い、適切な進出形態を選択することが成功の鍵です。事業開始前にしっかりとした準備を行い、スムーズな進出を実現しましょう。