カリフォルニア州での会社設立: 事業形態の徹底解説

カリフォルニア州での会社設立: 事業形態の徹底解説

カリフォルニア州への進出を検討している日本企業の皆様へ。現地での事業活動には、基本的に現地に拠点を置くことが求められます。これには複数の選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。本記事では、カリフォルニア州における基本的な3つの事業形態—「現地法人」「支店」「駐在員事務所」—に加え、最近注目を集めている「EOR・GEO・PEO(海外雇用代行)」についても解説します。これにより、自社の事業に最適な方法を選択し、海外ビジネスの成功を目指す手助けをいたします。

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本記事では、日本企業がカリフォルニアに進出する際の基本的な3つの事業形態である「現地法人」「支店」「駐在員事務所」に加えて、近年注目されている現法人を設立せずに海外事業が展開できる「EOR・GEO・PEO(海外雇用代行)」についても解説します。

カリフォルニア州進出のポイント

日本企業がアメリカ・カリフォルニア州に進出する際の重要なポイントを解説します。

カリフォルニア州における日本企業の現状
カリフォルニア州はアメリカ最大の人口を誇り、多くの日本企業が進出しています。日本貿易振興機構の調査によると、2022年3月16日時点でカリフォルニア州には2,491社の日本企業が存在しています(日本貿易振興機構「2022年カリフォルニア日系企業実態調査結果」)。

環境規制の厳しさ
カリフォルニア州は、アメリカで最も厳しい環境規制を有する州の一つです。知事のギャビン・ニューサムは、2035年までにカリフォルニア州内で販売されるすべての新車乗用車をゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)にすることを義務付ける政策を発表しました。これにより、2030年までにはZEV比率を61%以上に引き上げることが目指されています。連邦政府は50%を目指していますが、カリフォルニア州の取り組みは特に注目されます。進出を考える日本企業も、この厳しい環境規制を考慮する必要があります。

人事労務規制について
2020年1月1日より、カリフォルニア州ではギグワーカー(単発や短期の仕事を請け負う労働者)を保護する「AB5法案」が施行されました。この法案は、特定の条件を満たす者を「労働者」として扱い、賃金の請求権を認めるものです。従来、Uberのドライバーなどは個人事業主とされていましたが、AB5法案により労働者として扱われることになりました。しかし、企業からの反発もあり、2020年11月の住民投票で一部のドライバーは再び個人事業主として認められました。カリフォルニア州の人事労務規制は変化が激しいため、進出を検討する日本企業は最新の情勢を注視する必要があります。

今後の項では、アメリカ進出に関する概要をさらに詳しくご説明いたします。

アメリカ進出における現地法人設立の方法

日本企業がカリフォルニアに進出する際の基本的な事業形態として、「現地法人」「支店」「駐在員事務所」の3つがあります。今回は、現地法人の設立方法について詳しく解説します。

現地法人の種類: CorporationとLLC(Limited Liability Corporation)
アメリカで現地法人を設立する場合、主に「株式会社(Corporation)」と「LLC(Limited Liability Corporation)」の2種類があります。

  1. C-Corporation
    C-Corporationは日本の株式会社に相当し、最も一般的な進出方法です。株主(Shareholder)、取締役(Director)、役員(Officer)から構成されます。通常、日本の法人が親会社となり、アメリカに子会社を設立します。アメリカは連邦制度を採用しているため、設立する州の会社法が適用され、設立州以外で事業を行う場合は、その州での法人の事業登録が必要です。また、連邦税、州税、ローカル税の支払い義務もあります。
  2. S-Corporation
    S-Corporationは主に小規模法人向けで、個人経営の企業が多いです。株主数に上限があり、非居住者は設立できないため、日本企業がこの形態を選ぶことは少ないです。

株式会社(Corporation)のメリットとデメリット

  • メリット:
    • 親会社とは別の法人格を持ち、法的責任を軽減できる。
    • 株式を発行できるため、資金調達が容易。
    • 高い信頼性があり、多くの投資家や取引先に受け入れられやすい。
  • デメリット:
    • 設立や運営に多くの手続きが必要で、費用がかかる。
    • 法人税と配当時の個人所得税の二重課税リスク。
    • 取締役会の開催や議事録の作成など、管理が複雑で手間がかかる。

LLC(Limited Liability Corporation)のメリットとデメリット

  • メリット:
    • 運営契約に基づき、柔軟な運営が可能。
    • 法人税を支払う必要がなく、利益がメンバーの個人所得として課税されるため、二重課税を避けられる。
    • メンバーが出資額の範囲内で責任を負うため、個人資産を保護できる。
  • デメリット:
    • 株式を発行できないため、資金調達が難しい。
    • 小規模企業向きで、大規模な事業展開には不向き。
    • 一部の投資家や取引先からの信頼性に欠けることがある。

次の項では、支店や駐在員事務所の設立方法について解説します。

アメリカ支店設立の基礎知識と雇用形態

日本企業がアメリカに進出する際の2つ目の形態である「支店」について解説します。

アメリカ支店設立の基礎知識
アメリカで支店を設立するには、まず現地法人を設立する必要があります。その後、多くの場合、現地法人を設立した州とは異なる州に支店を設けることになります。この際、「州外登録」の手続きが必要です。

州外登録を行うためには、「事業を営むこと(Doing Business)」に該当する必要があります。この定義や運用は州によって異なりますが、一般的には以下の基準が適用されます:

  1. オフィス、工場、店舗などの施設を持つこと
  2. 倉庫や在庫を保有していること
  3. 従業員を雇用していること(リモートワークの従業員も含む)

支店での雇用形態
支店で働く者には、主に「従業員(Employee)」と「独立請負人(Independent Contractor)」の2種類があります。

支店を設置する際は、現地法人を設立する場合とは異なり、別法人である子会社の設立を伴わないため、日本法人が支店で働く者をアメリカで直接雇用することになります。従業員として雇用する場合、日本法人が直接雇用主とならないよう、現地法人(子会社)を設立することが望ましいケースもあります。一方、独立請負人として雇用する場合は、業務委託契約を締結する方法が考えられます。

次回は、駐在員事務所について詳しく解説いたします。

駐在員事務所設立の基礎知識と支店との違い

アメリカ進出の3つ目の形態である「駐在員事務所」について解説します。

駐在員事務所の基礎知識
駐在員事務所(Rep Office)は、日本とアメリカの租税条約に基づいて設置され、アメリカで連邦税を支払う義務がない「恒久的施設」(Permanent Establishment)に該当しないようにするためのものです。以下の6つが「恒久的施設」に該当します:

  1. 事業の管理の場所
  2. 支店
  3. 事務所
  4. 工場
  5. 作業場
  6. 鉱山、石油または天然ガスの坑井、採石場などの天然資源採取の場所

ただし、以下のような例外もあります:

  • 企業に属する物品や商品の保管、展示、引渡しのための施設使用
  • 企業の物品や商品の在庫を保管、展示、引渡しすること
  • 他の企業による加工のために物品や商品の在庫を保有すること
  • 企業のために物品や商品の購入や情報収集を目的とした一定の場所を保有すること
  • 企業のための準備的または補助的な活動を行うための場所を保有すること

駐在員事務所と支店の違い
駐在員事務所と支店の違いについては、支店が一定の期間や規模で販売・営業活動を行うために設立されるのに対し、駐在員事務所は本格的な事業活動の準備や情報収集、取引先との連絡窓口として設立されます。

支店は営業を行う州で州外法人登録が必要ですが、駐在員事務所は特段の登録が不要です。どちらも日本本社が米国での活動の主体となり、日本本社の営業スタッフを駐在させるための形態です。このため、駐在員事務所や支店は会社設立に比べて手軽に米国進出を開始できるメリットがあります。

ただし、駐在員事務所は営業準備や情報収集に限定され、本格的な事業活動を行う場合は支店として営業登録が必要で、連邦の課税対象となる可能性があります。また、駐在員事務所や支店は独立した法人ではなく、その活動は親会社の行為とみなされます。米国での訴訟対応や巨額賠償のリスクを日本の親会社が負う危険性があります。

そのため、事業規模がある程度拡大した場合、日本の親会社が無限責任を負うリスクを避けるために、現地法人への組織変更が重要です。

海外雇用代行とは? EOR・GEO・PEOの解説

近年、現地法人を設立せずに海外事業を展開できる手法として注目されている「EOR・GEO・PEO(海外雇用代行)」について解説します。

海外雇用代行とは?
海外雇用代行とは、日本の企業が海外で事業を展開する際に、その国の雇用主として従業員を雇用し、人事労務の手続きを代行するサービスです。このサービスを利用することで、日本企業は現地に代表者を派遣することなく事業を開始でき、撤退時には法人清算の手続きを省略することが可能です。

しかし、現地で顧客と契約する際には、日本企業が契約の主体となるため、代金の支払いは日本の法人の口座に振り込まれ、売上を現地で計上できないというデメリットもあります。この点には注意が必要です。

次項より、「EOR・GEO・PEO」と呼ばれる3つの海外雇用代行サービスについて詳しく解説します。


EOR (Employer of Record)とは?
EORは、企業に代わって法的に従業員の雇用主となり、給与支払い、税金の処理、社会保険の手続き、労働法の遵守などを行うサービスです。企業はEORを利用することで、現地の雇用規制や法的手続きを気にせずに従業員を雇用できます。

例えば、日本企業がアメリカで新規事業を開始する場合、EORを利用することで、その企業がアメリカの法的な雇用主となり、現地の雇用法に基づいた手続きを代行します。これにより、日本企業は現地の複雑な法規制を気にせずに事業を展開できます。


GEO (Global Employment Outsourcing / Global Employment Organization)とは?
GEOは、企業が複数の国で従業員を管理するための国際的な人事サービスです。各国の雇用法規に基づいて、従業員の雇用契約、給与計算、税務処理、福利厚生管理などを一括して行います。

これにより、企業は複数の国での人事管理を簡便に行うことができ、国際展開をスムーズに進めることが可能です。例えば、日本企業がアメリカ、イギリス、ドイツで同時に事業を展開する場合、GEOを利用すると、各国の従業員管理を一元化できます。


PEO (Professional Employment Organization)とは?
PEOは、企業が従業員の管理業務を外部の専門会社に委託するサービスです。このサービスを利用することで、企業は従業員の給与計算、福利厚生、税務処理、労働法の遵守などの人事管理業務をPEOに任せることができます。PEOは、企業と共同雇用契約を結び、従業員の管理を共同で行います。

例えば、日本企業がアメリカに支店を開設し、現地で従業員を雇いたい場合、PEOを利用することで、従業員の給与計算や福利厚生の管理を専門会社に任せることができ、人事管理の手間を大幅に削減できます。

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今回、私たちは「カリフォルニア州での会社設立の事業形態およびメリット・デメリット」について詳しく解説しました。海外雇用代行サービスは、日本企業がアメリカなど海外での事業展開をスムーズに行うための有力な手段です。

PEO、EOR、GEOそれぞれのサービスの特徴を理解し、適切に活用することで、現地でのビジネス展開を効率的に進めることが可能です。

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